嬢トーイウス・ユチンラフ Blanche Sweet
久々に大枚叩いて購入したオーストラリアのエンタメ系作家の小説が本当に面白くなくて、上下2段450ページの大作を残り100ページほどで放り投げた星野です。ベッドで横になりながら読んでいたんですけど、文字通り放り投げました。
それはそれとして、かれこれ20年ほど前でしょうか。当時住んでいた地元の古本屋で「大正通信社」という出版社発行の、その名も「映画」という雑誌の大量のバックナンバーを5000円で買いました。
発行年が今見ると大正14年(1925年)なので紙もかなりボロボロに傷んでいるのですが、印刷がとても美しいので「大切に保存しなければ」と思っていたものの昨日まで適当に放置してました。
で、いいかげん著作権も切れていることだろうし複写してこのブログでアーカイブしてみようと思った次第です。せっかくウェブサイト作りましたからね。
そんなわけで記念すべき第一弾は「嬢トーイウス・ユチンラフ」
「ユチンラフ?」
一瞬「ロシアの人?」と思いましたが、そこは違います。大正時代の印刷物ですから日本語縦書きの慣習に倣って右から左に書かれているのです。つまりは「フランチユ・スウィート嬢」ということです。ちなみにこの写真のタイトルは「き輝の美るた然燦」。以下記事の引用です。
「燦然たる美の輝き フランチュ・スウィート嬢」
”静かな芸風の持ち主として古から日本の人々に熱愛されている嬢は最近ファーストナショナル映画『動員一下』に主演してベン・ライオン氏と共に素晴らしい演技を見せて居ります。”
知らんですなー。
知らんですけど、「静かな芸風」とか「古(いにしえ?)から日本の人々に熱愛されている嬢」とか「素晴らしい演技を見せて居ります」とか言われると俄然気になってきます。
なので早速imdbで調べてみました。まずは"france sweet"で検索しましたが何も出てきませんでした。googleで検索してみても、クソ甘そうなフランス菓子の画像しか出てきませんでした。
試しに「フランチュ」を"franche"にして検索すると自動的に「blanche sweet」に訂正されてヒットしました。
http://www.imdb.com/name/nm0842239/?ref_=nv_sr_1
「ブランシュ・スウィート嬢」ってことでしょうか?
14歳から映画の芸歴をスタートしてるみたいですね。ご両親がボードヴィル芸人だったこともあり4歳の頃からステージに立っていたというのだから驚きです。映画がサイレントからトーキーに変わって以降次第に出演機会が減って行ったようです。ちなみに記事中の『動員一下』は"The New Commandment"という映画のようです。
そもそもが白黒写真の時代の方なので、この写真は着色ですね。薄い青い目に赤い口紅、青いドレスに臙脂のライン、そして彼女のトレードマークだったというブロンド。とても愛を感じる美しい写真だと思います。
口元が微妙にひん曲がっているのがまたいいんですよね。